Promise -無極-

promise-無極-

女神の約束に翻弄される、美女と将軍と奴隷の哀しい物語−


不思議な映画でした。


バブルに踊る右肩上がりの中国経済を象徴するかのような、華やかで色彩豊かな中国映画のひとつでした。



セシリア・チャン演じる美女の名は傾城。
欲する物は何でも手に入れられる代わりに永遠に愛されることのない人生を選んだ女。



真田広之演じるは大将軍・光明。
花の甲冑に身を包む無情の将は、涙を流す時、その命が終わる定め。



チャン・ドンゴン演じる俊足の奴隷は昆崙。
砂塵を巻き上げ疾駆する昆崙の俊足こそがこの物語の主人公です。



彼らの前に、傾城を手にいれんと立ちふさがる冷酷な北の公爵・無歓(ニコラス・ツェー)。


そして、黒衣に身を包んだ暗殺者・鬼狼(リィウ・イエ)。



戦場で一命を拾った奴隷の昆崙は、将軍・光明を新たな主として仕えます。
城が包囲されていると聞いた光明は急ぎ城へ立ち返ろうとしますが、道中、道に迷い、暗殺者の刃にかかり、負傷してしまいます。
光明の命により、昆崙が花の甲冑で顔を隠し、「武器を持たぬ唯一の方が王だ」という言葉を便りに城へ向います。
剣を振りかざし、傾城を追いかけ回す男の姿を見て、昆崙はとっさに殺害。
それが王とも知らず、そのまま傾城と逃亡します。

すぐに捕まった昆崙は傾城の自由を引き替えに瀑布に身を投じ、傾城は花の甲冑の男を愛してしまうのでした。
一方、光明は王殺しの汚名をかけられ、地位も名誉もすべて失ってしまいます。
花の甲冑の主として光明に想いを寄せてしまう傾城。
それを知りつつ、黙して傾城を愛してゆく光明。

傾城への想いを秘めたまま、光明の命に従い、命の限り走り続ける昆崙。

だけど、傾城は女神との契約により最後には愛を失う運命。
叶わぬ思いが交錯する哀しい物語の行き着く先は…。


監督の計算の内だと思うんだけど、時々、笑ってしまうシーンがあります。
愛をテーマに、けれど重たくならないよーにって事なのかな?
牛の大群に追われ岩壁を猛スピードで逃げる昆崙は、まるで少林サッカーみたいだし。
傾城に袖にされたりとか光明のふがいないシーンや、北の公爵・無歓の及川ミッチー的王子様風格好付け方は、笑ってもいいと思います。


ワイヤーアクションとCGを巧みに使い分け、そして大勢のエキストラを使った実写を織り交ぜて出来上がった映像は、貧乏知恵無しの日本映画界じゃちょっと真似できないな。
あの色彩感覚も邦画には無いものだし、回想シーンの挿入や小難しいご託を並べる自己満足な日本映画の監督たちと違って、チェン・カイコー監督の演出は最後まで見ていられるもの。


真田さんはもうちょっと格好いい役にして欲しかったなぁ。


でも、この映画、僕は面白かったです