バタフライ・エフェクト
見終わってから、ぐっとくる、とても切ない映画でした。
(;(ェ);)
もしも、時を越えて昔の自分に戻って、人生になにか手を加えることが出来たら?
愛しい人たちのために、あなたならなにをしますか?
主人公のエバンは、少年時代、何度も記憶を無くしていました。
医師の薦めでずっと書きためていた日記を読み返していた時、文字が躍ったかと思った瞬間、欠落していた記憶の一部が、ふっと甦ります。
まるで、過去に戻ったかのように、鮮明に。
精神病院にいるエバンの父親は過去に戻って人生をやり直せた、という母親の話にエバンは自身の身に起こったことに気がつきます。
時を越えて過去に戻る能力が自分にもあることを。
ある不幸な出来事をきっかけに、失われた瞬間に立ち戻ったエバンは、見事に人生を書き換えることには成功しますが、その結果がもたらした未来で人生に失敗します。
再び、人生をやり直しますが、人生とは一個人が単純に思い描くような幸せな結末に単純にたどり着けるものではないということを、この後、嫌と言うほど思い知らされます。
“バタフライ・エフェクト”というのは、蝶の羽ばたきが遠い海上の台風を引き起こすという、カオス理論に由来します。
元々は、スーパーパソコンなどで台風の発生を正確に予測しようとした時、内陸にいる蝶の羽ばたきほどの微妙な空気の揺らぎまで考慮しないと完全な計算が成り立たない所から来ています。
心に刻み込まれた強烈なトラウマや、死の匂いから親友や大切な人を救うために、過去を少しでも変えたことが、友達や周りの誰かの人生を狂わせていく…。
そんな物語を的確に表したタイトルですね。
心も体も傷ついた主人公が最後にたどり着く“人生”とは?
物語は、幼児ポルノや虐待など、主人公の少年時代に起きた辛い出来事に触れていきます。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のようなSFチックなタイムトラベルものや単純なラブストーリーだと思って見ると、ギャップに少しとまどうかも?
この映画は、病んだ現実から逃れようともがき苦しむアメリカそのものを描こうとしているのかも、なんて、僕は少し感じました。
この春見た映画で、いちばん、よかったです。
もしも、過去を変えられるとしたら…?
僕もやっぱり、失った恋のためにその力を使うかもなぁ。
そして最後は、主人公がたどり着いた場所に、僕もたどり着くに違いない。